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田町駅が最寄りの『芝浦ゲートウェイクリニック』は、免疫力をみる血液検査、がん等の難治性の病気に対し、同種白血球輸注療法を行っているクリニックです。

ハープに酔いしれて

私の友人にハーピスト(ハープ奏者)がいて、つい先日彼女のサロンで生徒さんたちの発表会を兼ねたハープの会に行かせていただきました。コロナ禍に於いての開催という事もあり、リモートを駆使したり工夫して、結局サロンにいらした生徒さんは二人。ゲスト奏者が一人とかなりの少人数で、窓を全開にエアコンを効かせて全員マスク着用という模様の開催でした。

 

この一年半、外での飲食は一切せず、何のイベントやコンサート観劇にも足を運んでいなかった私にとって、本当に久しぶりの生演奏です。最初にリモート機材等の調子をみるため、友人が弾いた曲はアルビノーニのアダージョ。私が以前リクエストした曲で、ハープの譜面が無いのでピアノ用の楽譜から彼女がハープ用にアレンジしてくれた、お気に入りの曲です。

……ハープはいい。音がいい。…空気を波のように振るわせ私に届くと、身体中の細胞がその振動でマッサージされるように響いて包み込んでゆく…。

 

音は耳だけで聞いていないのだ、と実感したのは15年以上も前、初めて彼女のハープ演奏会で生のハープの音に出会った時でした。

水の中でたゆたう様に、私の全身を振るわせ包み込む柔らかな音色。私はその音に溶け込みながら、深く癒されていくのを感じました。そして、今、全身で音を聞いているのだと実感したのでした。

 

それまでも、オーケストラを始めロックコンサート、和太鼓、ピアノ、ヴァイオリン、ジャズ等の生演奏は、たくさん聞いて来ました。確かに耳だけでなく、身体ごと反応しているのを感じてはいましたが、私にとってはハープの音色ほど分かり易いものはありませんでした。というより、それまでハープ単体、しかも生で聞いた事が無かったのでした。

 

無数の弦から弾かれ生まれた音は、CDやMP3などデジタル化された音では味わえない深さと広がりがあるのですね。

機会がありましたら皆さんも一度、生のハープ演奏を聞いてみてください。心地よいですよ。

 

この日、一番だったのはベートーベンの[悲愴]でした。彼女とゲストのハーピストさんのアンサンブルです。グランドハープ2台での演奏は、音に深い厚みが出てとてもゴージャスです。たゆたう音の波が、次から次へと私の細胞ひとつひとつを揺らし、振るわせ、共鳴させ、音の渦に呑み込んで行くのです。…この曲、もしかしたらピアノよりハープの方が良いのでは?

と思わせてくれる程、身体ごと感動しました。