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田町駅が最寄りの『芝浦ゲートウェイクリニック』は、免疫力をみる血液検査、がん等の難治性の病気に対し、同種白血球輸注療法を行っているクリニックです。

水を味わう

日本の夏は、涼を楽しむ食文化があります。

 

涼しげな食べ物と言えば、素麺がありますね。氷の浮いた器に入っていたり、流し素麺で楽しんだりと、水に浸っているスタイルが多いのですが、それは何故だと思いますか?蕎麦やうどんと違って、素麺はとても細いので、伸び易く麺と麺がくっ付きやすいという事もありますが、実は意外な理由がありました。

多くの素麺の食べ方は、水も一緒に味わっていると言うのです。

水の豊かな国日本は、名水と言われる湧き水や清流が非常に多く、美味しい水と共に育まれた食文化があります。日本の天然水は殆ど軟水で、出汁の旨味のもとである昆布や鰹節などの持ち味をよく引き出してくれます。鍋物の中でも湯豆腐や水炊きなどは、水の美味しさが命です。そんな我々日本人は、世界でも類をみないほど、水に対する味とこだわりを持っている民族なのかも知れません。

 

確かに流し素麺が有名な所は、名水で知られています。素麺と麺つゆと水が三位一体になって、あの美味しさになるのですね。余談ですが、流し素麺と素麺流しの違いは、流し素麺が竹を半分に切った物に高い所から水と共に素麺を流すのに対し、素麺流しは、円状で小さな流れるプールみたいな専用の機械に素麺を入れます。

上から流れて来た素麺をすくうのか、水の中くるくる回っている素麺をすくうかの違いだそうです。

 

夏に水を味わう、もうひとつは「水飯」です。「水まま」「水かけご飯」など呼び名は色々ですが、残りご飯を水で洗ってぬめりをサッと取り、冷たい水をかけた物。山形県をはじめとした一部東北地方の郷土食になっています。暑い夏、食欲が落ちて来た時、味の濃い漬け物や梅干しなどと共に食す知恵ですね。その根底には、やはり水の美味しさがあるのでしょう。

 

「水飯」といえばその歴史は古く、平安時代の「源氏物語」の第二十六帖「常夏」の冒頭、光源氏が夕霧たちと食事するシーンにも出てくるそうです。

そんな昔から、私たち日本人の夏の涼は、美味しい「水」と共に味わっていたのかも知れません。

さて、今日も暑いので、私も「水飯」にしてみようかと思っています。