黄砂の中に?!
春先から初夏にかけて、日本に黄砂が飛来します。黄砂というのは、大陸のモンゴルや中国の乾燥地帯にあるタクラカマン砂漠、ゴビ砂漠から舞い上がった微小粒子状物質が偏西風の影響で飛んで来る現象です。
黄砂の砂塵や微小な粒子は、健康被害や洗濯物、車の汚れや傷などの被害を引き起こします。
そんな迷惑な現象の黄砂ですが、最近意外な事を知りました。
まずひとつ目は、黄砂の中に納豆菌がいたという事です。黄砂研究をしている金沢大学のチームが、能登半島上空約3千メートルで採取した大気中から納豆菌に似た人体に無害なバチルス菌を見つけました。また北アルプス立山の雪の中からも納豆菌が含まれている事も発見し、それぞれの菌で納豆を商品化しています。日本における納豆菌は、もしかすると黄砂が運んで来たのでは?と納豆の起源の研究が進んでいるらしいです。黄砂のお陰で納豆が食べられているのかもしれない…と
もうひとつは、黄砂の中に、砂粒を分解して鉄イオンなどのミネラルを取り出す微生物がいて、砂粒と一緒に上空3千メートルを旅をして、たくさんのミネラルと共に太平洋沖に落ち、海の生態系を支えているという事です。ダイナミックな地球の循環の一端を担っているのですね。
そんな事が分かって来ると、一方的に迷惑だと思っていた黄砂も、地球上で生かされている私たちにとっての受け入れ方も心情的に寛容になれるのかもしれません。
とはいえ、車や洗濯物の汚れは防がなければいけません。しかし健康被害の方は、砂粒に付着したPM2.5の影響も大きいとすれば、こちらは人災の色が濃いですよね。
黄砂が日本に飛来する時期は、3月、4月、5月なのだそうですから、もう少しの辛抱ですね。毎春、黄砂の季節になったら、黄砂はただの害だけではないことを思い出して、地球のダイナミックさを感じてみてください。