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田町駅が最寄りの『芝浦ゲートウェイクリニック』は、免疫力をみる血液検査、がん等の難治性の病気に対し、同種白血球輸注療法を行っているクリニックです。

腎臓が寿命を決めている?

「五臓六腑に染み渡る」という表現があります。

よく使われるのが、喉がカラカラに乾いて、水分補給した時。特に夏の暑い時期のビールをグビグビと飲んだ後に、昭和のおじさん達は言っていました。まぁ、身体中の細胞に染み渡っていくようだという表現ですね。

この「五臓六腑」という言葉は、中国伝統医学において内臓全体を表しているんです。

「臓」とは、細胞がぎっちり詰まっている臓器で、心、肺、肝、脾、腎で五臓。

「腑」とは、中が空洞だったり袋状になっているもので、胃、小腸、大腸、胆嚢、膀胱、そして、普段聞きなれない三焦(さんしょう)です。三焦とは体幹のみぞおちまでを上焦、みぞおちから臍までを中焦、臍から下腹部全体を下焦と言い、その三つのバランスを取ると思われていた機能のことで、一説にはリンパ関係では?とも言われたりしますが、東洋医学の概念なので、現代の医学に無理に当てはめるものではないと、筆者は思います。

さて、耳慣れない三焦に手間取っている場合でなく、ここで一番伝えたいのは五臓の中に「膵臓」が入っていないことなのです!

腎臓という臓器、ご存知ですよね?腰の上あたりの背中側、左右に一対そら豆状の形で、大きさは握りこぶし位、ひとつ120g〜150gほどの臓器です。

 

腎臓はどんな働きをしてくれているかというと、まず「尿をつくる」「血圧の調整している」、このくらいは、知っている方も多いと思います。ところが、昨今分かってきた事は腎臓は、生命を維持するためバランスをとる要の役割を担っているというのです。

 

少し前までは、脳が全ての臓器をコントロールしていると思われていたのですが、実は臓器同士が伝達物質を出していて、全身が臓器同士のネットワークで繋がっていることが、分かってきました。中でも腎臓の果たす役割は重要です。

 

例えば、アスリート達が行う高地トレーニングで、彼等の体内で何が起こっているか考えてみましょう。酸素濃度の薄い土地なので身体が酸素不足になります。すると腎臓が、血中の酸素不足を警告するエポ(EPO)という物質を出します。エポ(EPO)は速やかに骨に入って行きます。エポ(EPO)をキャッチした骨は、骨髄で赤血球を増産します。そうして増えた、たくさんの赤血球が酸素が不足しないように全身に届けるのです。高地トレーニングとは、腎臓を鍛えるトレーニングだったわけです。酸素濃度調整のため、腎臓は常にメッセージ物質を出し続けています。

 

もう一つの例として、血圧に目を向けてみましょう。血圧を上げるためのメッセージ物質は、レニン(Renin)と言い、腎臓の傍糸球体細胞から分泌される事により全身の血管が収縮して血圧が上がります。

 

全身をコントロールするために、全身の血液の4分の1の血液が腎臓に送られていて、老廃物を体外に排泄するため尿を作ります。その濾過装置が糸球体です。糸球体の大きさは、約0.2mmでひとつの腎臓に100万個あるといわれています。ここで体に必要な血液成分やタンパクは濾過されず、その他の成分(糖分、塩分、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、尿素etc…)は尿細管で再吸収され血液に戻されます。この時、腎臓は他の臓器のメッセージに従い、塩分やミネラル調整をします。例えば心臓から、「疲れた」というメッセージを受け取ると、尿細管で塩分を再吸収するのを控え、血中塩分濃度を薄くします。それにより血圧が下がり、心臓が楽になるというわけです。カルシウムやリンなどのミネラルも他の臓器のメッセージで調整します。腎臓は全身の生命維持コントローラーといえます。

 

最近、腎臓の疾患が無いのに、急性腎障害(AKI)の患者さんが増えていると言います。他の臓器の病気から、急に腎臓が悪くなるらしいです。

【心腎連関、肝腎連関、肺腎連関、脳腎連関、腸腎連関、骨腎連関】と、重要臓器との深い相互関係があればこそです。ですから、腎障害から多臓器不全→死に至るという事なのでしょう。

 

皆さん、腎臓を大切にしていきましょう!

腎臓を大切にするには、まず腰を冷やさない、塩分を摂りすぎない、加工食品を控える(食品添加物に注意)、やたら薬やサプリメントを乱用しない(尿で排泄してくれるからと、腎臓に負担をかけるのはやめましょう)このへんの内容は、筆者の考えです。

 

そうして、タイトルにある「寿命」ということに触れていきましょう。体内のリン(P)の量が増えると、老化が促進するという事が分かっています。また、リン(P)の少ない動物ほど長生きするとの研究もあります。私たちの身体は、腎臓【骨腎連関】によって血中のリン(P)の濃度は的確に保たれています。リン(P)と老化の関係は、研究が進むにつれてもっと明らかになっていくでしょう。

人体の主要臓器のコントローラである腎臓が、まず全体の病気を防いでくれ、増えると老化物質になり得るリン(P)を適量に調整しているのですから、腎臓が「寿命」の鍵を握っていることは、間違い無いでしょう。

もう一度言わせてください。皆さん!腎臓を大切にしていきましょう!!

2025年6月 スタッフ 高橋