写経をしに行きました
友人と一緒に、薬師寺東京別院に「写経」しに行きました。
そもそも「写経」とは、経典を書き写すことです。
ご供養、心願成就、自身の心の安寧など、目的はさまざまです。文字を美しく書くための習字としても用いられます。
写経する経典は様々ですが、最もポピュラーなのが「般若心経」です。正しくは「般若波羅蜜多心経」と言い、経文の中でも262文字という短さで、「空」の概念を説いたものとして、仏教のたくさんの宗派が扱っています。
写経は昨今、自宅でも手軽に出来るように、ネットで「お手本」の無料ダウンロードが出来ます。そして、書いた写経を納経出来るお寺さんも沢山あるようです。もし写経にご興味のある方は、予め納経したいお寺さんに問い合わせして、納経の費用ややり方を知っておくと良いでしょう。
因みに私は家で出来ない(アレをしてから、コレも気になる‥挙句やらない)ので、写経する環境に身を置きたかったのです。
薬師寺東京別院は、一年中写経が出来、それを奈良の法相宗大本山薬師寺に納経してくださいます。しかも薬師寺が続く限り堂塔経蔵にお祀りし、永代にご回向してくださるというのですからありがたいことです。
筆者は、医療関係の仕事をさせていただいているので、元々薬師如来に手を合わせたいという気持ちもあって、友人がよく行っている薬師寺東京別院に連れて行ってもらったのです。
薬師寺東京別院は、JR五反田駅から歩いて5〜6分で閑静な高台の住宅街に向かって坂を登ったところにあり、途中木立ちに囲まれた石畳の坂が風情があります。五反田にこんな所があるとは思いませんでした。
受付で、2000円(納経料)支払うと、初めての私にお坊さんが写経に関する諸々を丁寧に説明してくださいました。本堂の中に入り、教わったように身を清め、空いている席に腰掛け、ゆかりのある水を硯に垂らし静かに墨を磨る。墨の良い香りがして気持ちが落ち着いて来ます。墨にお香を練り込んであるのだと、先程の説明で初めて知りました。墨を磨るのは、何年ぶりだろう…どのくらいの濃さになったらいいんだろう…静けさの中、自問しながら筆先が美しく整った筆で、手漉きの和紙から透けて見えるお手本をなぞってみると墨が薄過ぎて滲んでしまいました。もう一度墨を磨りなおし、四苦八苦しつつも静かな中なので妙に心は落ち着き、最後まで書き写すことが出来ました。心願成就の内容を事細かく書き終えてから、静々とそれを両手に持ち、中央の立派な薬師如来と両隣の日光菩薩、月光菩薩(薬師三尊)前にある台に納め、手を合わせました。先程のお坊さんの説明が思い出されて、ちょっとニンマリしてしまいました。「中央の薬師如来様は、あらゆる病や怪我から救ってくださるお医者様のような神様、右の日光菩薩は昼間の看護師さん、左の月光菩薩は夜勤の看護師さんと言ったところでしょうか云々。」とても分かりやすい説明でしたが、月光菩薩様は夜勤の看護師さんというのに私はウケていましたので。
とても気持ちの良い時間が過ごせました。
余談ですが、こちらの筆や墨、硯は、私たちが一度使用した後、全て各々の作り手に送られ、手入れをされ、新品同様になって、またこちらに届くという事です。そのひと手間が筆、墨、硯の伝統と文化を守る一端を担っている、その費用も込みの写経費用の2000円なのだと、帰りに友人が教えてくれました。なるほど、そうやって奈良の伝統を守っているのかと、感心しました。写経する私たちは綺麗に手入れされている、新品同様の道具で気持ちよく写経が出来、職人さんたちの仕事にもなっているのなら良かったなぁと思いました。そして、また来たいと思いながら、帰路につきました。
何か心に迷いや、痞えごとがある時、お願い事がある時、皆さんも心を落ち着けて、写経してみては如何でしょうか。
2025年12月 スタッフ 高橋










